
MSAとは
MSA(測定システム解析)は、測定器・方法・測定者・環境を含む測定システム全体を評価する手法です。データをSPCやCpとCpkの計算に使う前に、ばらつきのうち測定そのものに由来する部分がどれだけあるかを知る必要があります。
繰り返し性と再現性
| 要素 | 何を測るか | 何がわかるか |
|---|---|---|
| 繰り返し性 | 同じ測定者・同じ測定器・同じ部品 | 測定器(設備)によるばらつき |
| 再現性 | 異なる測定者が同じ部品を測定 | 測定者間・方法によるばらつき |
ゲージR&Rはこの2つを合わせたもので、測定システム全体のばらつきを表します。
調査の進め方
- 工程の実際のばらつきを代表する部品を10個選びます。
- 日常的に測定している測定者を3人選びます。
- 各測定者が各部品を、ランダムな順序で、以前の結果を見ずに3回ずつ測定します。合計90回の測定です。
- 平均とレンジ法、またはANOVAで解析します。
例題と判定基準
調査全体のばらつき = 0.050 mm、測定システムのばらつき(GRR) = 0.010 mm とします。これは説明用の例です。
%GRR = 0.010 ÷ 0.050 = 20%
| %GRR | 判定(AIAGの指針) |
|---|---|
| 10%未満 | 合格 |
| 10%〜30% | 条件付き:用途とコストによっては受け入れ可能 |
| 30%超 | 不合格:測定システムを改善する |
部品のばらつき:√(0.050² − 0.010²) ≈ 0.049。区別できるカテゴリ数は ndc = 1.41 × 0.049 ÷ 0.010 ≈ 6.9 で、切り捨てると6となり、最低基準の5を上回ります。20%なので条件付きの判定であり、使えるかどうかは特性の重要度と改善にかかる費用しだいです。
測定システムの改善
- 繰り返し性が悪い:測定器が不適切、摩耗、分解能が低い、部品の固定方法。
- 再現性が悪い:方法が標準化されていない、教育不足、読み取りの癖の違い。
- 校正を最新に保ち、環境を管理する。
よくある間違い
- 互いに似すぎた部品を使う。
- 測定者にどの部品を測っているか知らせてしまう。
- 測定器の分解能を無視する(公差の10分の1の目安)。
- 調査を一度もせずにデータを信じる。
次の一歩:重要な特性を1つ選び、番号を付けた部品を10個用意して、3人の測定者で調査を計画しましょう。Cpkを計算する前に行ってください。
よくある質問
ゲージR&Rとは何ですか。
繰り返し性と再現性を調べ、測定システムのばらつきを評価する調査です。
%GRRはいくつなら許容できますか。
10%未満は合格、10%〜30%は条件付き、30%超は不合格です。
部品と測定者は何人使いますか。
一般的な調査では、部品10個、測定者3人、部品ごとに3回の測定を行います。
ndcとは何ですか。
測定システムが区別できるカテゴリの数で、最低でも5以上が必要です。
繰り返し性と再現性の違いは何ですか。
繰り返し性は同じ測定者のばらつき、再現性は測定者間のばらつきです。
参考文献
- AIAG. Measurement Systems Analysis: Reference Manual. 4th ed. Southfield: AIAG, 2010.
- MONTGOMERY, D. C. Introduction to Statistical Quality Control. Hoboken: Wiley.
- WHEELER, D. J. Understanding Variation: The Key to Managing Chaos. SPC Press.
- NIST/SEMATECH e-Handbook of Statistical Methods. Gauge R&R Studies. https://www.itl.nist.gov/div898/handbook/mpc/section4/mpc4.htm
特記のない限り、参考文献は英語です。

